いぶき福祉会の北川です。
10月26日(月)の夜7時から、ガバクラ「働くということ」の第2回オンライン説明会をひらきました。
ガバクラ(ガバメントクラウドファンディング:ふるさと納税の仕組みを使って、社会の課題に取り組む活動を応援していただく取り組みです)の今年のテーマは、「働くということ ─重症心身障害児者の営みを社会の価値に」です。
この日集まってくださったのは、福岡で重い障害のある人たちのケアに携わる方、愛知県で生活介護事業所を営む方、在宅医療のクリニックで働く方、建築家の方、グループホームで働く方、そしていぶきの職員たち。前回からさらに多様な顔ぶれで、また新しい対話の場となりました。その様子をお届けします。
◆ 第1回の様子は、こちらにまとめています。
【ガバメントクラウドファンディング】働くということ|第1回オンライン説明会を行いました
窓口は止まっているけれど
はじめに、いぶきの森さんから、プロジェクトの説明がありました。
いぶきには、重症心身障害児者と呼ばれる、重い障害のある仲間たちがいます。
いぶきでは、その仲間たちもみんな仕事をしています。
けれど、障害の重い人が仕事をする姿は、まだほとんど知られていません。思い浮かべることすら難しい、という人も多いと思います。
その取り組みを、いぶきの外の人たちと分かち合いたい。
それがこのプロジェクトです。
具体的には、いぶきやほかの地域の実践を検証すること、先進的な事例を見学すること、それをレポートにまとめて発信すること、そしてカフェのような学習会をひらいて、地域の皆さんと一緒に考えること。
そのための資金を、10月13日から1月10日まで、ふるさと納税の仕組みで募っています。
ただ、寄付の窓口になっている「ふるさとチョイス」は、情報漏洩の関係で、いまサイトが止まっています。
いつ再開するかも分かりません。
「それでも、プロジェクトはすすめます。資金を集めることより、重い障害のある仲間たちの営みを、みんなで考えることがしたいんです」と森さん。
◆ プロジェクトの全体は、こちらの記事にまとめています。
【ガバメントクラウドファンディング】働くということ~重症心身障害児者の営みを社会の価値にする挑戦~
◆ ふるさとチョイスが止まったことについては、こちらでお知らせしています。
寄付の窓口が止まっても、物語は止めない ─ガバメントクラウドファンディング「働くということ」
「すごいんだよ、この人たち」
この説明会は、もともと、ふるさと納税での応援をお願いするために企画したものでした。
けれど、窓口そのものが使えなくなり、思いを込めて書いたプロジェクトのページも、いまはご覧いただくことができません。
でも、そもそもお金を集めたいわけではありません。
重症心身障害のある人たちは、社会の中でまだ、その存在さえ知られていないと感じています。
「そんな人がいるんですか」「この人に何かできるんですか」「かわいそうね」「大変ね」と言われたりします。
一方で、私たちの日々の現場では、「すごいね」「めっちゃかっこいいやん」「ほらほら、頑張るよ」という言葉が飛びかっています。
それが知られていないことが、悔しいような、もどかしいような。
それを伝えたい、というのがいちばんの思いです。
伝えたい思いは、ふるさと納税がうまくいかなくても変わりません。
ただ、皆さんの「かかわりしろ」(その人が参加関与できる余白のことです)をどうつくればいいのか。
何で応援していただき、何を一緒に楽しめばいいのか。
そこはまだ戸惑っています。
だからまず、こうして集まって、おしゃべりをするところから始めたい。
そんなことをお伝えしました。
動画を見ながら
次に、いぶきの紙漉き(和紙をすく仕事)の様子を撮った、短い動画をご覧いただきました。いぶきの藤井さんが、映像に合わせて一つひとつ説明してくれました。
「この仲間は、これを引っ張ると水が落ちる、ということを理解できているんです。
ただ、体の緊張が強くて。
いまは上手に引っ張れていますけど、この動作をすること自体が、とても大変な人です」
次の仲間は、引っ張ったら水が落ちる、ということを、はじめから分かっていたわけではないそうです。
体は前に傾きがちで、なんとか腕が動く。
その腕で引っ張ると、まわりから「入ったよ」「できたよ」と声がかかります。
すき上がった紙を押さえて、水を切る仲間。
そのまわりを、ほかの仲間たちが囲んで、みんなで数を数えています。
「こうやって、みんなで一緒にやっている雰囲気も大事にしています」
グループの中で一人だけ、単語くらいの言葉を話せる仲間がいます。
その彼女の存在が、みんなをつなぐムードメーカーになっているそうです。
仕事が終わると、一人ずつ、今日どんなことができたか、どんなふうに頑張ったかを、みんなの前で紹介します。
次はいつ仕事があって、今日はこれができたよ。
見通しをみんなで持てるように、いろいろなものを使って、できるだけ分かりやすく示しています。
「みんな、自分が注目されることがすごく好きなので、一人にスポットが当たる時間も大切にしています」
最後は、みんなで仕上がりを確かめて、仕事終わりのあいさつ。ちょっと疲れて集中が切れかけている仲間に、職員が「こっちだよ」「起きてる?」と声をかけています。
仕事をするのは、週に3日、午後の1時間だけ。
それ以外の時間は、音楽療法など、みんなが好きな療育活動(感覚に働きかける活動や音楽療法など、楽しみながら過ごす活動)も大切にしています。
仕事が禁止になった日のこと
動画のあと、藤井さんがあらためて話してくれました。
このプロジェクトは、藤井さんとの「重い障害のある人が働く現場は、全国でもあまりない。でも、うちの現場はすごいんです。
もっと知ってほしいんですよね」というおしゃべりから始まっています。
「重症心身障害というのは、体にも、知的にも、どちらにも重い障害がある人のことを指しています。自分の意思を言葉で表すことができない、自分で歩くことができない。そういう人たちです」
いぶきの北部の事業所には、63名の仲間が通っています。
そのうち20名ほどが、「重心(じゅうしん)」と呼ばれる仲間たちです。
重心の人たちが通う施設では、感覚に働きかける活動や音楽療法など、楽しい時間を過ごすことが中心になることが多いそうです。
医療的なケアが必要な人も、てんかんの発作がよく出る人も多い。だから、安全で安心なことを第一に、体の苦しさをやわらげて、少しでも楽しいと感じてもらう。
「でも私たちは、重心の仲間たちにも、働くことが必要だと感じて支援をしています」
藤井さんは以前、浜松にある重症心身障害の人たちの入所施設で働いていました。その通所部門では、仕事をしていたそうです。
ハーブを育てて、ポプリをつくる。
香りや、カサカサという音を、仲間たちが感じられるように工夫しながら。売上をみんなの人数で割って、お給料として渡していました。
「月に数百円、多いときで数千円。わずかなお給料を、みんな自慢げに持って帰るんです。その姿を見て喜ぶ保護者がいて。
目標は、少しずつ貯めたお金で、年度末に家族を食事に招待して、お母さんにご飯をおごってあげることでした」
その後、藤井さんは入所部門へ移ります。
入所の仲間たちとも一緒に仕事がしたい。そう考えて、あれこれ試してみました。
けれど最後には、施設の方針で、仕事は禁止になってしまいました。
本当はやりたくなくても、重心の人たちは拒否することができない。
させられているだけではないのか。
呼吸をすることさえ大変な人も多いのに、仕事となれば、さらに苦しみを与えるのではないか。
売上を求めるあまり、職員が仲間の気持ちを置き去りにして、生産にこだわってしまう危険があるのではないか。そんな理由からだったそうです。
「その頃の私は、そういう意見に対して、みんなに説明できるだけの言葉を持っていませんでした」
「自分でできた」を、仕事で
その後、藤井さんは岐阜に戻り、ご縁があっていぶきで働くことになりました。
いぶきは、もともと仕事を軸にしてきた法人です。
それでも、藤井さんが配属された重心の仲間たちのグループ(当時は「こらぼ」と呼んでいました)では、まだ仕事をしていませんでした。
車いすに座っている姿勢が中心だった仲間たちが、もっと自由に過ごせるように、マットに降りてみる。
いろいろな職員や仲間とかかわれるようにする。
まずはお手伝いから。それから作業をしてみよう、と誘ってみる。
そうやって一歩ずつ、仕事ができる形に移っていきました。
前の職場で仕事が禁止になった理由は、忘れてはいけない。
だからこそ、仕事づくりで何を大事にするのかを、職員みんなで考え続けてきたそうです。
「重い障害のある人たちは、どうしても受け身になることが多いんです。自分で自由に動けるわけでもないし、これがしたい、と言えるわけでもない。だから、自分で何かができた、自分でやった、という感覚を、どうしたら味わってもらえるだろうって」
自分でできた、という経験は、もっと何かしてみたい、というわくわくした気持ちを生む。
仕事であれば、これをやってください、と任されることがある。
役割ができる。
誰かに頼りにされる経験が、その人の自信になり、成長につながっていく。
「それは、楽しい療育活動や、お手伝いの中では得られないものなんじゃないかと思うんです。仕事だからこそ、育っていく気持ちがある」
かれこれ17年ほど。続けてこられたのは、仲間たちが確かに成長していく姿を見てきたからだ、と藤井さんは言います。
はじめは、「仕事なんてしなくていいから、お給料なんていらないから、楽しい活動をさせてあげてほしい」というお母さんたちも多かったそうです。職員の中にも、なかなか分かってもらえない部分があった。
それでも、仲間の小さな動きを見逃さないようにしてきました。
この指一本なら、こんなふうに動く。体が思うように動かない人もいる。
視線がなかなか合わない人もいる。
一人ひとりの「これならできるかもしれない」を仕事につなげ、これがあなたの仕事、あなたの役割だよ、と伝わるように声をかけていく。
最初は伸びなかった手が、だんだんそこを目指して伸びるようになる。
できたぞ、という仲間の表情。その瞬間を一緒に分かち合えたときの、職員のうれしさ。
「仲間のできたことを見つけていくこと自体が、職員の成長にもつながっていると思うんです。職員も仲間と同じ目線になって、一緒に悩んで、考えて、工夫してきた。だから一緒に喜び合える」
仕事をすることで、商品の材料を買う会社や、商品を置いてくださるお店とのつながりも生まれます。
施設の中で楽しむ活動だけでは、得られないものです。
「今日の動画に出てきたような仲間たちを、街で見かけることは、ほとんどないと思います。それくらい、まだ存在そのものが知られていない。社会から取り残されないために広めたい、というよりは、社会がこの仲間たちの姿に気づけていないのは、もったいない。そこをどう伝えたらいいのかは、私の中でもまだ課題なんですけど」
目を閉じていても
いぶきの大堀さんは、その日の現場の出来事を話してくれました。
紙漉きの仕事で、みんなが順番にローラーをかけていたときのこと。家であまり眠れなかったようで、眠ってしまっている仲間がいました。
今日はできなくても仕方ないかな、という空気になったとき、一人の職員が「やろうよ」と声をかけたそうです。
その仲間が「やろう」という気持ちになるところまでは、届かなかったかもしれません。それでも、目を閉じていても、もしかしたら声は聞こえているかもしれない。届くかもしれない。
やってみたら、目を覚ますかもしれない。その職員の思いが、大堀さんには強く伝わってきたそうです。
「職員の真剣さみたいなものに、今日もまた感動して、帰ってきました」
画面には、いぶきの紙漉きでつくっている「ポケのーと」を映しました。美濃の製紙会社から和紙を分けていただいて、仲間たちがすき、ノートに仕立てています。
仲間たちの姿を見て、「この人たちが働けるの?」「これを仕事と呼んでいいの?」という声は、まだまだあります。
けれど、こうしてちゃんとした商品をつくり、世の中に流通している。それは立派な役割だと思っています。
かわいそうな人のことを分かってください、というお願いではありません。目に見えない生きづらさを抱えている人も、きっといまたくさんいる。
そんな中で、この仲間たちの姿は、希望になると思っています。どんな営みでも、その価値は、人と人のあいだに生まれてくるものですから。
当たり前の会話を
福岡市内にある事業所「ゆい」で、重い障害のある人たちのケアに携わる中山さんは、きょうされん(障害のある人の働く場や暮らしの場をつなぐ全国の団体です)の理事をされています。
この9月、きょうされんの全国大会で、大堀さんがいぶきの重心の仲間たちの実践を発表しました。その機会をつくってくださったのが、中山さんです。
「本当に共感しました。重心の人たちが働くということは、まだまだ知られていないと、日頃から実感しています」
きょうされんにも、かつて障害の重い人たちのことを話し合う部会がありました。
それが一度なくなってしまい、中山さんたちが何年も訴え続けて、再開されたそうです。
それでも、重心の人たちの活動を、どう仕事につなげていけばいいのか、悩んでいる事業所の職員さんはたくさんいる。全国大会での大堀さんの発表にも、「実践に役立つ内容だった」という感想が多く寄せられたそうです。
「実践を、いろんなところで発表していくことが、まず大事なんだと改めて感じました。私たちも、働く中で成長していると思うんです。重心の方々も同じで、役割を持って事業所に通うことで、その人の役割や存在感を、まわりに知ってもらえる」
中山さんの事業所でも、仲間たちは仕事をして、1か月頑張ったらお給料をもらって帰ります。
送迎のときに「今月も頑張ったので、これだけお給料が出ていますよ」と伝えると、ご家族が「じゃあこれで、みんなでおやつを買おうか」と話される。そんな会話から、家族のつながりや、きょうだいとの関係、家族の中でのその人の居場所が形になっていくように感じている、と話してくださいました。
「行ってきます」があって、「行ってらっしゃい」がある。
「ただいま」があって、「お帰り」がある。
「お給料もらってきたよ」「頑張ったね」がある。
そんな当たり前の会話が、障害が重いから、重症の人だから、いらないということはないはずです。当たり前を取り戻す。
そんな言葉が、会の中で交わされました。
対等に、伝えるには
愛知県の豊山町で生活介護事業所「フレーム」を営む井上さんは、いぶきの活動の様子を見るのはこの日が初めてだったそうです。
フレームにも、重心の方もいれば、精神障害のある方もいて、いろいろな方が通っています。
はじめは、楽しく過ごせればいいと思っていた。
けれど、ものづくりが大好きな場所なので、地域とものづくりでつながりたいと思うようになった。
ただ、重心の方にものづくりに参加してもらうのは、なかなか難しい。
いまも模索しているところだそうです。
「ここは、どうも本人の意思で動いているぞ、という部分を、どうにか何かにつなげられないか。紙漉きの場面はすごく共感できましたし、水が流れて、うれしいって思える。その表情は、スタッフとしてはぐっときます」
そして、管理者としていつも考えていることも。
「こっちが伝えたい、というだけでは、なかなか対等じゃないと感じているんです。地域の人にとっても、フレームさんがいて、そこの誰々さんがこんなことをしてくれて、すごく良かった、と思ってもらえるには、どんなふうに広げたらいいんだろう。
地域の方や企業さんにとっても、いぶきとつながると良いことがある。そういうところを、すごく聞きたいんです。どうやったら、そんなに広がるの?」
そんなこともお尋ねいただきました。
「本気で思ってるんですよ。いぶきとつながると、絶対良いことある。仲間と知り合うと、絶対楽しい。もちろん、苦しいこともいっぱいあるけど、生きるって、それはセットなので」
「この人に何ができるの」「大変ね」と言われることを、否定はしません。知らないから。まだ未知だから。
知らないからこそ、少しずつ変えていける。
10年前、20年前と比べると、世の中はずいぶん変わりました。
私たちはどうしても、少し情緒的に語ったり、場面の描写で語ったりしがちです。
現場を一緒にしている人となら、「あれね」「これね」で通じる。社会に伝えていくには、どんな言葉を使い、どんな方法をとればいいのか。
それを皆さんと一緒に探したい、というのが、今回の説明会の大きなねらいでもあります。
井上さんからは、最近考えている、ものを売ることについての話もありました。地域のためになりたい。だから、たとえば「豊山町でしか売らない」と決めてみる。この話は、またあらためて機会をつくって、ゆっくり伺いたいと思っています。
「わかってる気がする」
在宅医療のクリニックで働く平田さんは、思い出したことが二つある、と話を始めてくださいました。
一つは、病院の小児科の先生方とのカンファレンス(事例をもとに話し合う会議)でのことです。
生まれてすぐから人工呼吸器をつけて、すべてに医療的なケアが必要な子どもたち。その子たちは何も分かっていないのかというと、実は分かっているんじゃないか。
小児科の先生が「スピリチュアルな話で、ここで言っていいか分からないんですけど、分かってる気がするんですよ」と言うと、訪問看護師さんたちも、その場にいた医療者も、みんなが「そうそう」とうなずいたそうです。
「それって、人間の可能性をどう信じるか、ということだと思ったんです。科学ではまだ分からないことも、きっといっぱいある。その医療者たちと、いぶきで働いている皆さんの共通点を、今日感じました」
もう一つは、マネジメントの話でした。
「いまどこの組織でも、マネジメントってすごく大変ですよね。時短で働かなきゃいけない人がいたり、いろんな人がいる。その人たちをどう組み合わせたら仕事になるか。
そのクリエイティブさが、いまどこの職場でも求められていると思うんです。
いぶきさんでは、それがたまたま重心の人たちなだけで、むしろ最先端なんじゃないか。人間の小さな可能性を信じて、いかに面白く、本人のやる気やできること、意欲をどう高めていくか。その工夫は、すべての職場でいま求められていることだと思います」
平田さんは、熊本の重心の施設を訪ねたときのことも話してくれました。
入り口に入った途端、ぴゅーっと紙飛行機が飛んできた。
人差し指しか動かせない子が、どうやったら紙飛行機を飛ばせるか。
スタッフがいろいろな仕組みを考えて、その子が飛ばしたのだそうです。
「その組み合わせですよね。そのことを本当にクリエイティブに考えて、一緒に喜び合うスタッフ。
大人になったら仕事だし、小さいときは遊びでもいい。
その人が持つ可能性や、小さな変化を、ずっと観察し、根気よく働きかける。そのことが、とても素晴らしいと思いながら、映像を見ていました」
現場を共有している人どうしなら、「そうだよね」と言い合える。
では、その場を共有していない人には、どう伝わるのか。そんな問いかけにも、平田さんの答えは軽やかでした。
「具体の場を経験していなくても、みんながそうだと言ったら、そう思うんじゃないかな。自分は見ていなくても、みんながそうだよねと言っていたら、そういうものなんだなって、けっこういろんな人が思うんじゃないかと」
それが、価値観の転換だと思います。
面白いと感じることが、面白い
建築家の伊藤さんは、いぶきの「えんがわベンチ」のプロジェクトでご一緒している方です。大学で教えてもいらっしゃいます。
そのプロジェクトでは、デザインを学び始めたばかりの大学1年生がベンチをデザインし、どうつくるかを話し合う場がありました。
「そこで僕が学生と会話しながら、彼らの可能性や面白さがどう引き出されていくか、その様子がすごく興味深かった、と北川さんが言ってくださって。デザインや設計では、もちろん熟練すればするなりのアウトプットがあります。
でもそうじゃなくて、どんな熟練度の人にも、すごく面白かったり、みずみずしかったりするものがある。それを見つけて、面白いなと思えること。
それを伝えたいと思うし、同時に、面白いなと感じることそのものが面白いというか」
重心の仲間たちとかかわっている職員の皆さんも、仲間たちだけでなく、自分自身の世界が日々広がっていく感じがしているのではないか、と伊藤さん。
「さっき、価値は人と人のあいだにあるものだ、という言葉がありましたけど。そう思うと、仕事として目に見える形にできるものの周りに、いまはまだそういうふうに置き換えられないかもしれないけれど、たくさんのことが生まれている。
それは、私が教える中で感じている広がりと、すごくつながっている気がします」
「みんな仲間です」
みずみずしい、という言葉から、話題はいぶきの看護師、浅野さんへ。
「浅野さん、今日も仲間とけんかしました?」
「今日はしてないです。今日は仲良くしました。でも、けんかも必要だと思ってます。仲間だから、職員だから、とは思っていないので。一緒に働く私にとっては、職員も仲間も、みんな仲間です。だから、仲間同士のけんかです」
浅野さんは、仲間と本気で向き合ってくれている人です。
集まる人が変われば
会の終わりに、前回に続いて参加してくださった西田さんにも一言いただきました。
「1回目と2回目、全然違いましたね。良かったです。いろいろ話が聞けました」
集まる人が変われば、生まれる対話も変わります。
ふるさと納税という形で参加していただくことは、いまは難しくなっています。だからこそ、こうした学習会や、おしゃべりの会を重ねていきたいと考えています。
重い障害のある仲間たちが働くことを、特別なことではなく、当たり前の風景にしていく。その物語を、たくさんの人と一緒に紡いでいけたらと思っています。