みんなでこそだての輪プロジェクト

はじめまして、NPO法人Chance For All(以下CFA)の中山勇魚です。「生まれ育った家庭や環境でその後の人生が左右されない社会の実現」を理念に掲げ、東京都足立区と墨田区で学童保育を運営しています。

学生時代に学童保育の現場でアルバイトをして、小学生や放課後の持つ可能性に衝撃を受けるとともに、放課後の時間やこどもたちの自由、そしてひとりひとりのこどもの幸せがあまりにも軽視されていることに強い怒りを感じました。その勢いのまま、卒業後も保育の世界に。社会人として修行を積んで、2013年に民間の学童保育施設「CFAKids」を開校しました。

「学童保育」とは、主に小学校が終わった放課後の時間に保護者と一緒に過ごすことが難しいこどもたちが生活する場所のことです。現在、両親の共働きやひとり親家庭などの事情で、放課後に学童保育に通っているこどもたちは、日本全国に約130万人いるといわれています。

まず知っていただきたいのが、放課後の重要性です。一般的に小学校で過ごす時間は年間約1,200時間、夏休み等も含めた放課後の時間は約1,600時間あると言われています。
この長い長い放課後の時間。本来、放課後はこどもたちが思いのままに、自由に遊ぶ中で人として成長していくとても大切な時間でした。しかし、今の日本の小学生を取り巻く状況には三つの重大な問題があります。ひとつは「こども主体の放課後が失われてしまったこと」、次に「子育てのパートナーの不在」、そして「こどもの貧困」です。

これらの問題の解決に挑む私たちの志は、以下の記事をご一読ください。
凸と凹「登録先の志」No.6:中山勇魚さん(NPO法人Chance For All 代表理事)
凸と凹「登録先の志」No.7:藤場恵見さん(NPO法人Chance For All 理事)
1.何が問題か?

■失われた、こども主体の放課後

つい20年ほど前まで、放課後はこどもたちが主役の時間でした。友だちと誘い合ってサッカーをしたり、秘密基地を作ったり、駄菓子屋でおしゃべりに興じたり。図書館で読書に没頭したり、徹夜でドラゴンクエストをやって学校に寝坊して怒られたり。過ごし方はさまざまでしたが、「放課後に何をするか」はこども自身が決められる、自由にあふれた時間でした。

その自由な時間の中で、笑い、泣き、喜び、悲しみ、時に仲間と冒険し、時にケンカし。淡い恋心を抱いたり、音楽で孤独を癒やされたり。そうしてたくさんの心動かされる経験を通じて、こどもたちは大人になっていきました。

こどもの権利条約にもあるように、こどもたちには自分のことを自分で決める権利があります。その発達に応じながら、少しずつ自分で決めることを増やし、多くの経験を経ることで成長していくのです。しかし、小学校1年生の約半数が学童保育に通うと言われるこの時代。以前は20人、30人ほどで生活していた学童に100人を超えるこどもが詰め込まれ、大人による管理的な運営がなされていたり、安全管理の名のもとに公園遊びや野外活動が禁止されたり…。こどもの自由が制限されるような放課後のあり方が、こどもたちが持つ無限の可能性すらも制限してしまっています。

また、放課後の時間は「思いやり」「がんばる心」「傷ついた時に回復するしなやかさ」「友だちとの本音のコミュニケーション」「知的好奇心」「冒険心」など、国語や算数のように数値化できない、学校では学べない多くのことを学ぶ時間です。しかし、非認知能力と言われるこれらの力は数値化できないがゆえに軽視されがちで、こどもたちを自由に遊ばせないで、英語やプログラミングといった成果が目に見えやすい習い事を詰め込む家庭も増えています。当然、習い事はお金がある家庭だけのものですので、この「放課後のサービス化」は家庭の財力による放課後の分断を招いています。いまや、小学生の放課後すら生まれた家で過ごし方が決まってしまう時代なのです。

私たちはこういった「大人によって管理された放課後」に強い危機感を抱き、「こどもが主役のこどもたちのための学童保育」を運営してきました。こどもたちが自分たちのことを自分たちで決めること、大人が先回りして管理しすぎないこと、こども同士を比較評価するのではなく、ひとりひとりのこどもの成長を応援すること。すべては放課後をこどもたちの手に取り戻すために。
■子育てのパートナーの不在

こどもの成長には無限の可能性があり、子育てには多くの喜びがある一方で、保護者にはこどもの成長に応じて様々な課題や困難が降りかかります。そして、その多くを保護者だけで解決していくのは困難です。そして、かつて地域には多くの大人がいました。身近な親族である祖父母だけでなく、同じように子育てをしている世帯で助け合ったり、商店会、町内会、こども会など、多くの地域コミュニティが存在し、(時に口うるさく感じることもあったかもしれませんが)こどもたちを見守り、子育ての助けになっていました。

しかし、働く場が地域の商店街や工場、田んぼや海から都市部の会社へと変わっていく中で、地域コミュニティの衰退が進み、私たちの活動地域でもこども会が解散したり、伝統的な祭りが開けなくなったりしています。また、核家族化が進んだことで、祖父母も遠くに住んでいて頼れない家庭も増えています。その結果、以下の図のように、女性なら以前は74%いた子育てについての相談相手が、今は44%しかいなくなってしまっているのです。
さらに、相談相手が減っていることに加えて、共働きやひとり親の増加で保護者自体の多忙さも増し、負担が非常に大きくなっています。その結果、孤独に苛まれながら仕事と育児でヘトヘトになっている保護者と、自分の意志とは関係なく家庭の状況で生活が左右されてしまうこどもという図式ができてしまっています。
こうした負のサイクルから抜け出すためには、こどもたちを一緒に見守るパートナーの存在が欠かせません。専門性を活かして助言するだけのアドバイザーではなく、保護者と一緒に悩み、こどもたちの幸せを願う伴走者の存在が不可欠なのです。

私たちは学童保育としてただ決まった時間に子どもを預かる保育サービスではなく、こどもや保護者の悩みと向き合い、必要に応じて学校や専門機関、行政などと連携して解決をめざしたり、地域のみなさんと協力してこどもたちが保護者と一緒に楽しめる夏祭りを実施したり、商店街でイベントを開いたりしてきました。こどもたちが通っている間はもちろん、学童保育を卒業した後も地域で子育てを見守っていける社会をめざしています。
■こどもの貧困

ここ数年で「こどもの貧困」という言葉がかなり社会に浸透しました。日本は世界的に見れば経済的に裕福な国ですが、15%以上の人々が貧困状態にあると言われており、ひとり親世帯になると、その率は50%を超えています。これはOECD諸国で最も貧困率が高く、日本という国の構造的問題と言っていいでしょう。
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-02-01-18.html
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00522/

そして、貧困という社会的課題の難しいところは、単にお金があるないという問題ではなく、多くの課題が複合的に絡み合って生きづらさや苦しさを増してしまうということです。

実際に私たちが活動している東京都足立区でも、非生活困難世帯と生活困難世帯では、「相談相手」の有無に2倍以上の差が、「地域への信頼」の有無に3倍以上の差が、「地域の助け合い」に3倍以上の差があります。(足立区 こどもの健康・生活実態調査より)

最も助けを必要としている家庭が、助け合いの輪の外にいる状況を変えねばなりません。ではなぜ、学童保育にこどもたちや保護者に寄り添うことができるのでしょうか。

それは学童保育が評価したり、裁いたりする場所ではないからです。困っている家庭に必要なのは、評価されることでも、指導されることでも、説教されることでもありません。気持ちに寄り添い、話を聞いてくれること。一緒に悩んで考えてくれること。こどもや保護者の幸せを願ってくれること。そんなことが実は一番求められています。

幸せを願うなんて曖昧すぎて、公的機関の業務に落とし込むことはできません。でも、学童にあるそんな曖昧さが保護者の気持ちを解きほぐし、誰にもできない相談をしてくれる秘密なのかもしれません。

しかし、そんな私たちの学童保育は独自の活動が評価され、口コミだけで9施設、340以上の家庭が通ってくれている一方で、行政の型にはまっていないため、補助金を受け取ることができません。保護者からの保育料金で運営しているため、保育料金を払うことができない貧困家庭のこどもは通うことができません。

そこで生まれたのが「奨学制度(※)」です。本制度により、保育料金を払うことが難しい家庭のこどもは無料でCFAに通うことができます。
※詳細はページ下部で説明します。
2.誰と解決するか?
私たちの理念である「生まれ育った家庭や環境で、その後の人生が左右されない社会の実現」には、

(1) こども本人の成長を応援すること
(2) 保護者だけで子育てに悩むことがないこと
(3) 地域のみんなでこどもたちを見守ること
(4) 専門機関と連携すること
(5) 地域や専門機関以外の、子育てに直接関わりがない大人が子育てに関わる機会をつくること

が必要だと考えています。子育てのパートナーとして、こどもたちの成長に寄り添ったり、保護者のよき相談相手になることはもちろんですが、地域や社会との架け橋になることも重要だと考えています。

商店街やこども会といった地域とこどもがつながれば、自然とこどもを見守る環境が作られ、事故や犯罪といった有事の際に力になってくれたり、学童保育を卒業した後も地域のたくさんの大人に見守られながら成長していくことができます。

また、1人ではアクセスしにくい児童相談所などの専門機関も、子育てのパートナーが提案したり連絡をとることで、必要な時に必要なサポートが受けやすくなります。

私たちだけですべてのことを行うのは不可能です。こどもを想うたくさんの大人たちと一緒に、こどもたちの成長を見守っていきたいと考えています。毎日通う学童保育という場所が、こどもたちが社会とつながっていく入口になっていければと考えています。
3.どう解決するか?

★ビジョン(あるべき社会の状態):生まれ育った家庭や環境で、その後の人生が左右されない社会の実現
★ミッション(自団体が果たす役割):こどもたちが現在、そして将来にわたって幸福であるために、
・ひとりひとりのこどもの成長を見守ります。
・保護者が、子育てについて相談できるパートナーになります。
・こどもを取り巻く課題を、みんなと一緒に解決します。
私たちは「生まれ育った家庭や環境で、その後の人生が左右されない社会の実現」のために、(1) こども、(2) 保護者、(3) 地域を軸に活動しています。

(1) 学童保育という場がこどもたちにとって居場所(居るだけでいい場所、何をしても何もしなくても否定されない場所)となること。こどもたちを数字で比較評価するのではなく、ひとりひとりのこどもの成長を見守っていくこと。

(2) 実はCFAが最初にできた時には「私たちは保護者のための学童ではありません。こどもたちのための学童です」と言ってきました。しかし、CFAという学童保育とそこで働く私たちがこどもたち一緒に成長していく過程で、多くの保護者と語り合い、助け合い、文字通りこどもの成長をともに見守る仲間として歩んできました。一方的に支援する関係ではなく、休みの日に校舎の修繕を手伝ってくれたり、私たちが苦しい時に寄付集めをしてくれたり、今では保護者との関係性なしにはCFAの活動は語れないほどです。

(3) 地域と家庭の交流を促す活動として、地域のお祭りへの参加、商店街の行事に参加するなどの活動をしています。また地域の枠を超えて、一般企業とも連携を取り、工場や仕事現場の見学、オフィス訪問といったこどもたちが社会を知り、つながるためのプログラムも実施しています。
4.“志金”のつかいみち
“志金”は「奨学制度」へ使用します。奨学制度とは、学童を利用するにあたって必要となる料金をすべて免除する制度です。

CFAは、一般的な民間学童の半額以下の保育料金で、行政からの補助金を受けずに運営をしてきました。しかし、生活保護などを受けている貧困家庭にとって、保育料は重い負担となっており、お金を理由に利用をあきらめる家庭も少なくありませんでした。家庭の経済的な事情によって学童に通えない子がいないよう、誰もが通える学童保育をめざして2019年度より奨学制度を開始して現在、複数のご家庭に利用いただいています。

本奨学制度により生まれ育った家庭や環境に関わらず、すべてのこどもたちが豊かな放課後の時間の中で自立に向けて成長できる社会をめざします。

CFAの奨学制度の特徴は、単に保育料を免除するだけでなく、食事やおやつの料金、遠足、キャンプなどの行事への参加費など、すべてが無料となり自由に参加できるということです。そして、奨学制度を維持するために1人につき年間50万円必要となります。

「お金が理由で通えない子を0にしたい!」という想いだけでスタートした奨学制度。将来的には寄付を原資として、希望する家庭をすべて受け入れていきたいと考えています。

その目標を実現するために、2020年度は以下の3つの活動に取り組みます。

活動(1) :奨学制度対象者への無償保育受け入れ
現在、奨学制度を利用している世帯は数名程度ですが、いただいた支援を元に、運営している校舎1つにつき1名の受け入れ、合計9名受け入れます。

活動(2) :奨学制度対象者へのヒアリング
奨学制度によって児童を受け入れるだけではなく、対象家庭がどういった支援を必要としているのかを調査します。例えば食糧支援や学習支援、学童や小学校を卒業した後の支援など、他のNPOと連携して真に意味のある支援を行っていきます。

活動(3) :アセスメントシートの作成&情報発信
こどもたちの成長を教科学習の点数だけで図るのではなく、非認知能力がどう伸びていくのかを継続的に可視化できるアセスメントシートを作成し、放課後の時間でこどもたちが伸びやかに成長できる環境を整えます。また、活動の成果を社会の資産として共有することで、学童保育そのものの質の向上をめざします。
5.さいごに

私たちは、右も左もわからない20代の仲間が集まって、こどもたちや保護者と一緒に汗をかき、笑ったり泣いたりしながら現場で奮闘してきた現場第一の組織です。正直、こういった社会に自分たちの活動や考えを広く訴えていくという活動はほとんど行ってきませんでした。

しかし、これまで述べてきた話の他にも、小学校におけるいじめの発生割合がこの20年で約30倍、校内暴力の発生割合が約28倍、虐待の発生件数も約30倍と、こどもたちを取り巻く状況はどんどん厳しくなっています。これは本当に悲しいことです。こどもたちに関わってきたひとりとして無力感すら感じます。しかし、ここであきらめるわけにはいきません。

すべてのこどもたちが今も、そして未来もしあわせであるように、これからも一歩一歩前に進んでいきたいと思います。ひとりでも多くの方が賛同してくだされば、こんなにうれしいことはありません。

2020年7月17日
NPO法人Chance For All 代表理事 中山勇魚
6.伴走支援者の声

CFA代表の中山さんとは、ぼくが審査委員として参加した第一勧業信用組合「東京ソーシャルビジネス・アクセラレーター」のコンテストで、数年ぶりに再会しました。

中山さんは自身の経験に基づくパッションあふれたプレゼンテーションで見事、優秀賞を獲得しました。でも、ぼくは審査資料からひとつのことが気になりました。それは、「Chance For All」という団体名の通り「すべてのこどもたちに、可能性を」を掲げ、ひとり親家庭等への「奨学制度」を設けていながら、寄付収入がほとんどないことでした。

コンテスト終了後、中山さんに確認すると、「ちょうどこれから寄付募集に力を入れようとしている」とのこと。そんな偶然が重なって、本プロジェクトの立ち上げに向けた伴走支援は始まりました。

口コミでの広がりや、コロナ禍の自粛期間中も退会者はほとんどおらず、CFAで働きたい若者が他地域から何人もやってくるなど、CFAがこれまで重ねてきた取り組みの価値は、CFAにかかわる子どもや保護者、職員などにはよく知られたところです。

でも、このまま続けても「For All」にはなりません。ぼくもひとり親家庭に育ち、学童のお世話になった一人として、CFAの価値を“志金”に換えるサポートを、あきらめずに取り組みたいと思います。(木村)

支援者 3人

このプロジェクトは目標金額の達成有無にかかわらず、支援者がプロジェクトに支援を申し込んだ時点でプロジェクトの成立(売買契約の成立)となります。またこのプロジェクトは月額課金型になります。


1,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書
(2) 定時総会へのご招待
※JCBのクレジットカードのみ利用できません(2020年9月現在)

2,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書
(2) 定時総会へのご招待
※JCBのクレジットカードのみ利用できません(2020年9月現在)

3,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書
(2) 定時総会へのご招待
※JCBのクレジットカードのみ利用できません(2020年9月現在)

5,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書
(2) 定時総会へのご招待
※JCBのクレジットカードのみ利用できません(2020年9月現在)

10,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書
(2) 定時総会へのご招待
※JCBのクレジットカードのみ利用できません(2020年9月現在)