『お金の地産地消白書2020』製作委員会の木村真樹と申します。本会の参加機関のひとつである
合同会社めぐるの代表です。
めぐるは今年度、『お金の地産地消白書2020』を発行するために、
一般社団法人価値を大切にする金融実践者の会(以下、JPBV)とともに製作委員会を立ち上げました。本書では、地域の“志金”が地域でめぐる「お金の地産地消」のさらなる推進をめざして、「価値を大切にする金融が社会課題の解決に向けて実践できること」を明らかにしたいと考えています。税収が減り、公共サービスのすべてを行政が担えなくなる中で、「お金の地産地消」の仕組みを日本の各地に育むことは、今後ますます重要になってくると考えているからです。
■『白書2017』発行後に日本でも広がり始めた「価値を大切にする金融」
『お金の地産地消白書』は2011年度から3年に一度、ぼくが代表理事を務めていたNPOバンク「
コミュニティ・ユース・バンクmomo」が中心となって発行してきました。
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お金の地産地消白書2011@愛知県版
~日本でいちばん“志金”が循環する地域を目指して~
・発行者:愛知県、コミュニティ・ユース・バンクmomo
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お金の地産地消白書2014
~地域金融機関がNPO支援に本気で参画するには?~
・発行者:コミュニティ・ユース・バンクmomo
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お金の地産地消白書2017
~人口減・収益源の未来に、信金・信組ができること~
・発行者:『お金の地産地消白書2017』製作委員会
⇒参加機関:行政-愛知県、名古屋市(市民活動推進センター)/コミュニティ財団-公益財団法人あいちコミュニティ財団/NPOバンク-コミュニティ・ユース・バンクmomo(事務局)/金融機関-瀬戸信用金庫、東濃信用金庫、株式会社日本政策金融公庫、飛騨信用組合
★お金の地産地消白書2020【今回】
~価値を大切にする金融が社会課題の解決に向けて実践できること~
・発行者:『お金の地産地消白書2020』製作委員会
⇒参加機関:JPBV、合同会社めぐる
⇒協力:多摩大学社会的投資研究所、プラスソーシャルインベストメント株式会社
『白書2014』の時は、
日本経済新聞や朝日新聞の社説など、
メディア掲載が相次ぎました。本書をテキストにした「
読む会」も、27都府県で計46回開催し、1,215名が参加。ご参加いただいた金融機関は90を数え、すべての回で満足度4点以上(5点満点/平均)の評価をいただきました。
前回発行した『白書2017』では、「ソーシャルバンクと持続可能なビジネスモデル」と題した最終章のコラムで、「価値を大切にする金融」を実現するためにグローバル規模で連携するネットワーク組織である「GABV(The Global Alliance for Banking on Values)」を取り上げました。
この時点では「GABVに参加している日本の金融機関はありません」と書きましたが、『白書2017』発行後の約3年間で進展したことのひとつに、このGABVに
第一勧業信用組合(東京都新宿区)が日本初のメンバーとして加入したことが挙げられます(2018年7月)。また、この「価値を大切にする金融」を日本で広めていきたいという願いを持つ有志によって、JPBVが2018年12月に設立されたことも大きな出来事でした。
最近は「SDGs宣言」を制定する地域金融機関も増えてきました。今回の製作委員会の立ち上げにあたり、地域金融機関のSDGsに関する取り組みを調べてみると、約半分の49%が何らか取り組んでいることがわかりました(2020年5月現在)。ただ、大切なことは、宣言することやピンバッジを着用することではありません。SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」という志を全役職員が胸に刻み、例えばこれまでは実績や担保等がなくて排除されがちだったソーシャルビジネスのような事業者や、その事業がもたらす社会的価値にも「本気で」寄り添うことではないでしょうか。
■「価値を大切にする金融」を実践する地域金融機関へのアンケートを実施
そこで『白書2020』では、「価値を大切にする金融」を実践するJPBV会員の地域金融機関によるソーシャルビジネス支援の現状を明らかにするために、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者への支援」や「ソーシャルビジネスへの融資や本業支援の実践」、「ソーシャルビジネスがもたらす社会的価値の評価」、「共通価値の創造を担う人材の育成」に関するアンケートを、2020年7月~8月に実施しました。
https://www.meguru.social/posts/8733925
本アンケートには、以下の16の地域金融機関からご回答いただきました。
●地方銀行:きらぼし、肥後
●第二地方銀行:島根、宮崎太陽
●信用金庫:京都
●信用組合:あかぎ、東、糸魚川、いわき、笠岡、宿毛商銀、第一勧業、那須、飛騨
●労働金庫:九州、新潟県
そのご回答のうち、「新型コロナウイルスの感染症の影響を受けた事業者に支援してきた実践(2020年8月現在)」と「その中で大切にしてきたこと」は、『白書2020』内で各金融機関の頭取・理事長のお名前や顔写真とともに掲載させていただきます。また、ソーシャルビジネスへの融資や本業支援を通して支援先の成長や社会的価値の拡大につながった、他の金融機関と共有したい特徴的な実践事例もご紹介する準備を進めています。
これまでの社会では、社会課題の解決は「もうからない」とされ、もうからないことの主たる担い手は「行政」であり、その財源は「税金」でした。しかし、人口減少や少子高齢化等のさらなる進展に伴う財政難で、これからの社会課題の解決は行政だけで、税金だけで対応できません。想定される地域の未来に「本気で」備えるには、その解決を「民間(ソーシャルビジネス)」で、その財源を「地域(金融機関)」でまかなっていく必要があります。
金融機関の預金残高に対する貸出残高の割合を示す「預貸率」は、この20年で大きく下落しました。地元で預けたお金を地元で生かし切れていないなら、社会課題の解決に挑んでいる地元のソーシャルビジネスに、この財源をもっと生かせないでしょうか。
「未来志向の」地域金融機関であれば、これからの本業から「社会課題の解決」を外すことはできないはずです。「地域のために」「地域とともに」という経営理念をこれからも掲げ続けるなら、今後はますます地域と一体化し、社会課題の解決に「本気で」挑むプラットフォームになっていく必要があります。
社会課題の解決を「本気で」志すなら、ひとつの地域金融機関だけで実現できないことは明らかです。自分たちのまちの課題解決だからこそ、自分たちのまちのお客様とともに取り組む。自助はしんどく、公助も期待できない地域の未来に、「共助」を育む地域金融機関を『白書2020』は応援したいと考えています。ぜひご参加ください!
◆『白書2020』ページ構成案(A4変形サイズで40ページを想定)◆
●【第1章】状況の外観:ソーシャルビジネスと地域金融の最新動向
・コラム(1) :金融機関のポジティブ・インパクトを評価する手法の標準的な枠組み(仮題)
小林立明さん(多摩大学社会的投資研究所 研究員)
●【第2章】特集:JPBV会員の地域金融機関に対するアンケート結果と分析
●【第3章】主な問題点:アンケート結果と分析を踏まえた鼎談
・江上広行(JPBV 代表理事・事務局長)
・木村真樹(合同会社めぐる 代表)
・野池雅人さん(プラスソーシャルインベストメント株式会社 代表取締役社長)
●【第4章】取り組みの事例:JPBV会員の地域金融機関によるソーシャルビジネス支援の特徴的な実践事例
・コラム(2) :SDGs時代における地域金融機関の新たなエコシステム創出事業(仮題)
野池雅人さん(プラスソーシャルインベストメント株式会社 代表取締役社長)
●【第5章】今後の見通しと対策の提言:価値を大切にする金融が社会課題の解決に向けて実践できること
・コラム(3) :社会課題の解決は「システム思考」で(仮題)
江上広行(JPBV 代表理事・事務局長)
・コラム(4) :ソーシャルビジネスへの本業支援で、お客様との共同体意識を育む(仮)
木村真樹(合同会社めぐる 代表)
◆“志金”のつかいみち◆
アンケート・ヒアリング費用、デザイン・レイアウト費、印刷製本費、郵送費等
◆リターンについて◆
●発行サポーター:1口5,000円
(1) 『白書2020』へのお名前の掲載
(2) 『白書2020』1冊贈呈
●発行パートナー:1口10,000円
(1) 『白書2020』へのお名前の掲載
(2) 『白書2014』『白書2017』『白書2020』各1冊贈呈
(3) 発行記念オンラインイベントへの無料ご招待【2020年12月に開催予定】
●発行レンジャー:1口50,000円
(1) 『白書2020』へのお名前の掲載
(2) 『白書2014』『白書2017』『白書2020』各1冊贈呈
(3) 発行記念オンラインイベントへの無料ご招待【2020年12月に開催予定】
(4) 「『白書2020』を読む会」講師の無料(※)派遣【講師は木村真樹が担当】
※開催にかかる経費(会場までの交通費、宿泊費、参加者分の白書購入費)は別途必要となります。