2021年から奇数月に開催する「組織課題解決ワークショップ@オンライン」の第12回には、地域金融関係者9名のみなさまにご参加いただきました。
参加者の主な属性は以下の通りでした。
・居住地:栃木県、東京都、神奈川県、新潟県、兵庫県、山梨県
・所属:第二地方銀行、信用金庫、信用組合、その他等
ゲストにはNPO法人ソルウェイズ共同代表理事の運上昌洋さん、運上佳江さんをお招きしました。
ソルウェイズは北海道札幌市で重症児デイサービス(重症心身障がい児に特化した児童発達支援・放課後等デイサービス)、生活介護、居宅介護、訪問看護の事業所を運営しています。
今回のワークショップでは「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト(いけプロ)に地元の金融機関としてできること」がテーマでした。
3人1組のグループで宿題のプレゼンテーション動画に対する感想や質問を話した後、運上さんにみなさんから出た質問に丁寧に答えていただきました。以下のようなやり取りがありました。
●Q:長期計画の中で何が一番の課題?
⇒医療的ケア児の支援法が昨年できたが、子ども家庭庁もでき、医ケア児は子育ての法律の中に位置づけられることになった。子育てなのか、医療なのか、福祉なのか、しっかりと位置づけることが必要ではないか。福祉の方に戻そうとなると、また混乱するのではないか。事業の見通しが立たなくて困る。
●Q:金融機関のやり取りの中で、距離を感じることは何? また、その感じた距離の原因は何にある?
⇒担当者によると思う。ソルウェイズの前に会社を起業して20年経つが、最初立ち上げた時はどこも貸してくれなかった。そのうち事業計画を見て話をしてくれる人も出てきた。いざ困った時に頼れるように、できるだけ担当者に会うようにしている。事業の先を一緒に見てくれるような人がいるとうれしいけれど、いい人は異動で遠くへ行ってしまうことも多い。会社の方で借りて返す中で信頼関係ができているので、ソルウェイズでも借りることはできている。
●Q:地域金融機関に何を一番サポートしてほしい?
⇒金融機関は情報を持っている。SDGsの取り組みを考えている企業も増えているけれど、実践できていないのが現状。今日ちょうど電話があり、サッシが一つ売れたら寄付する取り組みをやりたいという企業からの連絡だった。金融機関にはぜひそういった思いのある企業とのマッチングをしてほしい。福祉に限らず広げたいと思っている。
その後、再び小グループで「あなたがソルウェイズの役員なら、何に取り組むか」を話し合っていただきました。それを踏まえて個人ワークでアドバイスを書いていただきました。
●学生(特に大学生)は他地域から来ていることも多いので、インターンとして参加してもらう。また、最近は会社以外でのキャリアを築きたいと思っている人もいるので、社会人のパラレルワークとしてプロボノとして参加してもらう。
●固くて保守的なところが多い金融機関に対して、あきらめや怒りを感じないことかな。交渉がいまいちだったとしても「ま、そうだよね」という超悲観主義でOK。それでもあきらめ前提でしゃーしゃーと対話を続ければ、振り向いてくれるバンカーは必ず現れます。
●昨年、法律ができてもまだ認知度が広がらない現状は、雪合戦の玉かなと思います。この活動を広げるためには、金融を含めた各業界団体へのアプローチが有効かと思います。銀行の中で中堅の人が志を持って動いても、経済合理性がないとなかなか広がりません。次の法律ができたり、政府で注力度が上がると、各業界団体へ広がり、上から話が落ちてくると、企業のトップに届き、トップダウンで変わる可能性があります。またはユネスコのような団体と組むことなどが考えられます。
最後に、終了後のアンケートで参加者のみなさんから寄せられた感想の一部を紹介します。さまざまな困難に日々ぶつかりながらも、夢をあきらめず奮闘されている運上夫妻に感銘を受けた方がたくさんいらっしゃったのが印象的でした。
●本来であれば、運上夫妻の、ソルウェイズさんの取り組みにアドバイスを、というワークショップだったかと思いますが、私自身の学びの機会となりました。実際に何をして、何に悩み、何を思っていらっしゃるのかは、こうした対話をすることによって生まれるのかなと思いました。ビジネスとして運営できているということが非常にすばらしいと思いました。
●すごい大きなパワーを感じました。ミッションを達成するために、つながりを大切にして、さまざまな活動をされていて、何度壁に阻まれてもあきらめずに立ち上がる力、すばらしいと思いました。
NPO法人ソルウェイズは現在、「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト(いけプロ)」の発起人を2022年12月末まで募集しています。詳細は下記URLをご覧ください。
https://solways.or.jp/project11