「生きるをつくる」プロジェクト

ひだまり創理事長の古澤です。13年前に介護の業界に入り、高齢者介護を行ってきました。高齢者支援では看取りを行うことも多く、死を身近に感じるからこそ「今、目の前にある今日を少しでも楽しく、笑顔で過ごしてもらいたい」という思いで介護を行ってきました。でも、介護をしていると、「家族や人様に迷惑をかけて長く生きて申し訳ない」といったお声も聞くことがありました。

日本の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳です。平均寿命との乖離が約10年あります(令和4年版高齢社会白書より)。介護が必要となった10年でだんだんとできないことが増え、今まで当たり前にあった役割や行動の自由がなくなっていく。自分への自信がなくなり、心の自由もなくなってしまう。

介護を受けるだけという支援では補いきれない心の支援が必要だと強く感じていました。心への支援が必要だと感じ、2016年にNPO法人ひだまり創を発足しました。

この問題の解決に挑む私たちの志は、以下の記事をご一読ください。
凸と凹「登録先の志」No.19:古澤由加里さん(NPO法人ひだまり創 理事長)
1.何が問題か?

★困りごとを抱えた当事者:岐阜市在住のフレイル(※1)進行者、要支援・要介護の高齢者で、社会参加活動(※2)をしたいと思っている人
※1:健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと。適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性がある。
※2:趣味や就労、町内会などの地域行事、ボランティアなどのこと。
★困りごとを象徴する数字:
(1) 頻回な社会参加活動をしていない人は、要支援・介護の認定の受けやすさや認知症のリスクが1.3倍になる(経済産業省「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会報告書」)
(2) 75歳以上になっても社会参加活動をしたいと考えている人は38.7%。うち、実際に社会参加活動をしている人は9.8%(内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査(2014年)」/統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-2.高齢者の就業(総務省統計局))
高齢者介護は身近な問題で、日本は2025年には800万人いる団塊世代が後期高齢者(75歳)になり、国民の4人に1人が後期高齢者という世界でも類がない超高齢化社会を迎えます。そして、2050年には団塊ジュニア世代が65歳以上になり、日本の人口の4割が高齢者となります。ですが、介護が必要となった高齢者の社会参加は進んでいない状況です。

支援を受けるだけという現状の介護の考え方のもとでは、家族や介護事業者以外との交流が減り、ますます心身状態が悪化。それに伴い、介護度も悪化して廃用症候群、いわゆる寝たきりの高齢者が増えてしまうという負のサイクルに陥ってしまいます。

負のサイクルから抜け出すためには、介護が必要となっても「やりたい」「できる」を活かしながら、近所の方やお店、学校等と交流し、地域の活動に参加することができる好循環が必要です。そのためには、本人が気づいていない「できる」ことに気づけ、「やりたい」という心の声を相談でき、一緒に挑戦できる場が必要です。
2.誰と解決するか?

★先行事例:
・事例1:「長寿社会のまちづくり」プロジェクト(千葉県柏市)-高齢者と地域の困りごととのマッチングを行い、生きがい就労を進めている。
・事例2:デイサービスおたがいさん(奈良県桜井市)-レザークラフトなどの商品を作成して地域バザーへ出店しての販売や、小学生の登下校時の旗当番などの地域ボランティア活動、木工玩具を作り保育園へ寄贈するなどの社会参加活動を行っている。
介護が必要となった高齢者の日常生活の困りごとは、介護事業所が支援してくれます。健康や体調面は、病院などの医療機関がサポートしてくれます。また、日常生活面での困りごとは、介護保険事業者や行政機関、医療機関などが連携して解決することができます。

しかし、高齢者がボランティア活動などの社会参加活動を参加したいと思っても、対応できるサービスはなく、実現することができません。実現するためには、地域に住む住民やお店、団体など、さまざまなつながりが必要です。

そのためには、地域における困りごとがあるかを尋ねるアンケート調査を行うとともに、協働でイベントやプロジェクトを行って、団体や制度の枠組みを超えてつながれるように働きかけることが求められます。私たちは、地域のお店や住民、学校などと協力し、介護を受けながらも高齢者の「やりたい」「できる」を活かして、地域の活動に参加できるモデルをつくりたいと考えています。
3.どう解決するか?

★ビジョン(ありたい社会像):住み慣れた地域で年齢関係なく「やりがい」や「生きがい」を持てる生涯活躍社会
★ミッション(ひだまり創の果たす役割):高齢者の一人ひとりの能力を活かして「自由に生きる」を全力で応援する仕組みをつくる
「生きるをささえる」活動である介護保険事業は、今後も継続して行っていき、介護が必要となっても住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援をしていきます。

しかし、それだけでは地域の中で「高齢者のやりたいこと・できることを活かす仕組み」をつくることができません。その目標を達成するため、2023年度に「生きるをつくる」3つの行動を起こします。
(1) コミュニティスペース(地域相談所)を開設する
(2) 地域の高齢者や地域住民とイベントの開催や他団体との協働プロジェクトを行う
(3) 地域の協力企業や団体を発掘できるよう、ニーズ調査を行う

介護が必要となってからではなく、困りごとややってみたいことを気軽に相談できる場所が地域の中にあれば、本人や家族、友人が早い段階から相談できます。また、「できる」を活かすイベントやプロジェクトが増えれば、地域との交流も増えます。そんな機会が増えれば、必要な介護を受けながら、住み慣れた地域で「やりたいこと」「できること」を活かすことができるようになっていきます。
4.“志金”のつかいみち
私たちが行おうとしている「生きるをつくる」プロジェクトには、公的財源がありません。「生きるをささえる」ための介護保険事業の公的財源だけでは基本的な運営費を捻出するのが精一杯で、「生きるをつくる」プロジェクトに費用を回すことができません。みなさんからの寄付や会費はプロジェクトの推進力になります。

2023年度は、みなさまからご支援いただいた“志金” を活用して次の活動に取り組みます。
活動(1) コミュニティスペースの開設:高齢者が社会参加活動に参加できる環境や設備を整備します。
活動(2) 地域交流:地域住民や企業のみなさんと一緒にイベントや交流会を行います。
活動(3) 地域へのニーズ調査:高齢者と地域のつながりがつくれるよう、地域住民や企業、団体へのニーズ調査を行います。

介護が必要になっても、地域や社会とかかわりながら生きていく道をつくることは、自分らしく生きられる人生の選択肢をつくることになります。今から始めるからこそ、つくることができる未来があります。一緒に未来を変えていきませんか?
5.伴走支援者の声

「ひだまり」という言葉がぴったりだなと思うぐらい、ミーティングでお会いする時のひだまり創さんはいつも笑顔いっぱいで、オンラインの画面越しに元気をもらっていました。日々接している利用者さんもきっと元気をもらっているんだろうなと思います。

以前、事務所を訪問した際に、利用者のみなさんの作品をうれしそうに見せてくださいました。せっかく作ることに喜びを感じても、作り続けるためには費用がかかってしまうこと、作ったものの保管に困ってしまうといった悩みを伺って、どうしたら利用者さんがやりたいことを続けられるかを真剣に考えていらっしゃる姿が印象的でした。

神奈川県川崎市にある日本理化学工業株式会社の故・大山泰弘会長は「人間はどんな人でも幸せを求めている」として、人間の究極の幸せには次の4つがあるとおっしゃっています。
(1) 人に愛されること
(2) 人から褒められること
(3) 人の役に立つこと
(4) 人に必要とされること

日本理化学工業は日本一のチョークメーカーで、従業員の多くが知的障がい者ですが、この「幸せの4原則」は、高齢者も含めたすべての人に当てはまることではないでしょうか。「生きるをささえる」活動で高齢者の生活をサポートすることはできるかもしれませんが、高齢者の幸せを願うからこそ「生きるをつくる」プロジェクトを立ち上げたのだと思います。

介護保険制度外の取り組みであるこのプロジェクトを継続していくためには、寄付やボランティアといったサポートが欠かせないものになっています。人はみな老いていきます。自身の未来を考えていくことにもつながるこのプロジェクトに、ぜひ「マンスリーサポーター」として参画してください!(長谷川)

支援者 6人

本プロジェクトは、ログインしてお気に入り追加や支援をすると、「活動報告」更新時に通知メールが届きます。
また、支援者による支援の申し込みが完了した時点で、凸と凹登録先が支援金の提供を受ける契約が成立するものとします。
なお、本プロジェクトは月額課金型になります。


500 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書(年1回)
(2) (オンライン)イベントへのご招待

1,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書(年1回)
(2) (オンライン)イベントへのご招待

3,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書(年1回)
(2) (オンライン)イベントへのご招待
(3) ひだまり創オリジナル商品(年1回)

5,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書(年1回)
(2) (オンライン)イベントへのご招待
(3) ひだまり創オリジナル商品(年1回)

10,000 円 /月

配送方法:郵送

(1) 年次報告書(年1回)
(2) (オンライン)イベントへのご招待
(3) ひだまり創オリジナル商品(年1回)