2021年から奇数月に開催する「組織課題解決ワークショップ@オンライン」の第19回には、地域金融関係者10名のみなさまにご参加いただきました。
参加者の主な属性は以下の通りでした。
・居住地:北海道、新潟県、栃木県、神奈川県
・所属:第二地方銀行、信用組合、その他等
認定NPO法人うりずん 事務局長の我妻英司さんをゲストに開催しました。うりずんは、栃木県宇都宮市で医療に頼らないと生きていけない重い障がい児者とその家族の当たり前の生活を支援するために、日中のお預かり、自宅での見守り、外出などのプログラムを提供しています。
今回は、うりずんと同様の取り組みを北海道で実施しているNPO法人ソルウェイズの運上佳江さんも「参考にしたい」とのことで参加してくれました。(運上さんは
第12回 のゲストでした。)
今回のテーマは「地域金融機関はうりずんの活動にどんな貢献ができるのか?」。3人1組のグループでうりずんに対する感想や質問を話した後、我妻さんにみなさんから出た質問に丁寧に答えていただきました。以下のようなやり取りがありました。
●Q:収入源は助成金と寄付のみなのでしょうか?
⇒9割は行政から入ってくる委託料。残りの1割が寄付と助成金。制度になっていて、行政から入る部分が大半だけど、それだけでは賄いきれない部分を寄付や助成金でカバーしている。利用者の入浴サービスは制度事業としては実施できないが、ニーズが高く実施している。
●Q:医療的ケア児の生活の質を上げるために大切なことはなんでしょうか?
⇒毎日お風呂に入ること。医療的ケア児は入っても週2~3回ということが多い。何とか毎日入れるようにできないかと考えている。本人だけでなく、家族のサポ―トも大切だと思っている。家族で一緒にお出かけしたり、外食に行っても痰の吸引等があるとすごく大きな音が出るので、どうしても周りに気を遣うという声を聴く。
●Q:栃木県指定の医療的ケア児等支援センターになられ、重度訪問介護もスタートされたと思いますが、まだ地域に足りないと思われる課題や問題点は?
⇒医療的ケア児等支援センターは県から依頼され、受託している。重度訪問介護事業は医療的ケア児等支援センターとは別の話。成人の利用者も増えていて、自宅で看たり、ゆくゆくはグループホームで親から自立して生活できるような支援をしていきたいと考えている。
その後、再び小グループで「あなたがうりずんの担当者なら、何に取り組むか」を話し合っていただきました。それを踏まえて個人ワークでアドバイスを書いていただきました。
●医療的ケア児の家族のニーズに応えるローン商品や保険が銀行にあるとよいと感じました。家族をはじめとした医療的ケア児にかかわる方へのケアも必要だと感じました。
●地域に医療的ケア児のことを広めていく上で、銀行のネットワークが使えると思いました。多くの方が知らない現状を変えていく必要があります。知る人が増えれば、寄付も増えます。また、お出かけマップのお話がありましたが、銀行が取引先の飲食店に理解を仰ぎ、登録を増やしていくのもおもしろいと思いました。各県の地銀が各々取り組みを進めれば、お出かけマップの日本地図ができるなぁと思いました。
最後に、終了後のアンケートで参加者のみなさんから寄せられた感想の一部を紹介します。
●制度の脆弱さがよく理解できた。それを覆す伴走が金融機関にはできる。
●栃木銀行内にうりずんさんを応援する気持ちを持つ同志が増えたことがよかったと思いました。
●うりずんさんや髙橋理事長の思いを感じました。いつも思いますが、ソーシャルビジネス事業者の方は、決して折れない信念と覚悟を持って迷いなく一歩一歩進まれている姿に感銘を受けます。そのような方を銀行が支援しないでどうするの?と思います。
次回の第20回は2024年3月13日(水)夜に、京都府京都市で重症心身障碍児者・医療的ケア児者とその家族・関係者のための支援を行うNPO法人こども未来の津山亮さんをお招きして開催します。テーマは「多種職によるチームビルディングのポイントは?」の予定です。ぜひご参加ください。
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