組織課題解決ワークショップ・第27回:現場訪問ツアー@十日町を開催しました
2025年10月01日
2021年から定期的に開催している「組織課題解決ワークショップ」の第27回は、約1年ぶりの現場訪問ツアーとして、新潟県十日町市で活動するNPO法人「
支援センターあんしん」の現場を訪問しました。
・日時:2025年8月23日(土) 12:30~17:30
・参加者:地域金融関係者7名
参加者の主な属性は以下の通りでした。
・居住地:新潟県、群馬県、東京都、神奈川県、長野県、愛知県、滋賀県
・所属:第二地方銀行、信用金庫、信用組合、農業協同組合、財務局、その他等
●当日のプログラム
12:30 JR十日町駅集合
12:45 「障がい者福祉」「まちづくり」の現場:あんしん⇒各事業所やグループホーム等の視察
17:30 終了(JR十日町駅前で解散)
⇒終了後、十日町駅周辺で懇親会
●当日の概要
プログラム開始前に、早めに集合できた方と十日町名物のへぎそばを食べに行きました。おそばのお店ですが、ハンバーグがおすすめということで、ハンバーグとおそばをいただきました。
12:30に十日町駅に集合したみなさんとランチ先発組と合流して、いよいよ訪問ツアーがスタートです。今回の訪問ツアーでは、樋口会長(会長)と常任理事の久保田学さん(まなぶさん)がアテンドをしてくれました。
最初に訪れたのは、農福泊の拠点として最近整備されたばかりの「sobainari」。今回のワークショップは「帰る旅」との共同企画のため、宿泊希望者の方にはこちらの寝床をご提供いただきました。外にはサウナが設置されていて、参加者のみなさんも驚いていました!
次に、古民家を改修して運営しているグループホームを3つほどご案内いただきました。あんしんの特徴は、十日町駅を中心とした半径600mの範囲で事業を展開していること。徒歩圏内にいくつもグループホームがあるため、すぐに移動することができます。部屋でくつろいでいた利用者さんに、お部屋の様子を少し見せていただくこともできました。
次に、トイレットペーパーを製造するワークセンターあんしん(就労継続支援B型)へ移動。真夏でものすごく暑かったため車で送迎いただきましたが、こちらの施設もグループホームから徒歩圏内です。
訪問したのが土曜日でお休みだったため、実際の作業工程は見られませんでしたが、トイレットペーパーの製造の流れをご説明いただきました。
トイレットペーパーを包装紙で包む作業を、親子参加のお二人に体験してもらいました。「きれいに包むのが難しい…」と言いながら無事に完成。トイレットペーパーはお土産としてプレゼントしていただきました。
ここで少し休憩。会長の娘さんが経営されているカフェ(築40年のリノベーションした宿泊施設)にお邪魔しました。
https://tokamachi-kouryukan.com/
見晴らしがとてもよい場所でした。
次に、きぼうワークス(就労継続支援B型)に移動して、「あんしんらんどりー」と「ひまわり福祉給食」を見学しました。「あんしんらんどりー」は温泉施設や旅館などから回収した、さまざまなクリーニング作業を請け負っています。1か月前に行われた大型フェスの余波で、大量のタオルやシーツが置いてありました。
隣接している「ひまわり福祉給食」では、利用者のみなさんが野菜切りや食器洗い、計量など、さまざまな作業に取り組んでいるとのこと。利用者のみなさんの食事をつくる場所でもあるため、365日休みなく営業されているそうです。
最後は、会長とまなぶさんに参加者のみなさんからの質問に丁寧に回答いただいた後、ワークセンターあんしんの前で集合写真を撮影し、訪問ツアーは終了です。
終了後は十日町駅近隣のお店まで送っていただき、懇親会。グループホームの管理者を務める果奈子さんも合流してくださいました。お店に入ると、会長のお知り合いの方がいらっしゃったのですが、お昼を食べに行ったお店でも偶然、あんしんの職員さんのご家族と遭遇していました。あんしんのみなさんがまちに溶け込んでいることを改めて実感しました。
●参加者の声(一部抜粋)
・根っこにある想いの部分(障がいのある方が障がいのあることを意識せずに健常者と一緒に暮らせる社会の実現)を樋口会長とまなぶさんが共有しながら23年間進めてきた歩みの重さ、大切さを感じました。
・経営の仕方や考え方、行動力、人脈作りなど、すべてが目から鱗のようでした。経営者自らまず作業してみたりすることや、かぼちゃをスープにして商品にして売ることも、簡単におっしゃっていましたが、自分の周りでは途中のハードルで頓挫することが多く、励まされた思いです。
・最初に企画のご案内をいただいた時は「障がい者福祉に取り組んでいる団体?」と思っていましたが、もちろんそれは柱としてありながらも、地域の困りごとを解決するさまざまな事業に取り組まれていて、障がい者の方々のためでもあり、地域のためでもあり、消費者のためでもあり、それを実現されている姿に圧倒されました。まさに最近言われる「ゼブラ企業」といってもよいのかもしれません。今まで真摯に地域で活動してきたからこそ、多くの方々に信頼され、そのつながりからまた新たな事業が生まれていっているんだろうと思いました。
今回のツアーでは、障がい者福祉を起点としながら、まちづくりや地域課題の解決へと活動の領域を広げている「あんしん」の姿を見ることができました。
十日町市は、人口戦略会議において前回に続き「2050年消滅可能性自治体」として選ばれています。何も手を打たなければ衰退の一途をたどる――そのような強い危機感の中で、まちの機能を維持するための地域支援事業に、ますます力を入れて取り組まれようとしています。
こうした現場を実際に体感することが、地域金融やまちづくりに携わる方たちの視野を広げ、新しい連携や挑戦のきっかけになることを願っています。あんしんのみなさま、そして参加者のみなさま、本当にありがとうございました。